『2019年の最高傑作、いや、映画史に残る映画、『ジョーカー』を観た』

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『バットマン』に登場する悪の帝王「ジョーカー」は、いかにして誕生したのか!?

映画史に残る映画だと思う。『ジョーカー』、『バットマン』の悪役として有名なあの「ジョーカー」です。
どうして、あんなにも極悪非道な悪の帝王のような存在が生まれたのか・・
この映画『ジョーカー』では、「ジョーカー」が生まれるまでを描いています。元々は、人を笑わせたい、笑顔にしたいとスタンダップコメディアンを目指していたハッピーという男性。名前もまた良いじゃないですか。
しかし、夢はあれど、鳴かず飛ばずで年齢を重ねるハッピー。家には介護が必要な年老いた母もいる。仕事は少しでもコメディアンに近い職業をということで、ピエロに扮して、お店の看板持ちや病院訪問をして子供たちに笑顔を提供していたんです。

が、時は不況の真っ只中、架空の都市ではありますが「ゴッサムシティ」の街中に怒りや鬱憤の炎の塊のようなものが蠢いていたわけです。
そんな時こそ、ハッピーのような笑顔を提供しようとする人間が求められるはずなのに、彼はどこへ行っても馬鹿にされ、罵られ、時に暴力まで受けるはめに。
溜まってくわけですよね、ハッピーの中にも、怒りや鬱憤が。もちろん彼も経済的には苦しいけれど、彼の中で溜まっていく怒りや鬱憤というのは、「貧困」という問題ではなく、もっと根深いところにあるもの。「承認欲求」です。自分という人間をもっと人に見てもらいたい。存在を知ってもらいたい。自分そのものを受け入れてもらいたい。

ハッピーは、とある病気も持っていたんです。それは、突然笑い出してしまうという病気。特に身の回りに辛いことが起こったり、予期せぬことが起こったり、とにかく過度なストレスが自分にかかる状況になると笑いが止まらなくなってしまうという病気。
カウンセリングを受け、この病気とも向き合いながら、ハッピーはただただ人を笑顔にしたい、そして、そんな自分を認めてもらいたいと成功する姿などを妄想し、日々の辛いことを乗り越えようとするんです。健気なんですよ。本当に。そして、ひたすらピュア。

そんなある日に、彼がピエロの仕事帰り、地下鉄の中で、イケてる風な男たちに絡まれ、また突然笑い出してしまい、それが引き金となってボコボコにされるんです。そこで、ハッピーの中で積もり積もったものが爆発してしまい、そこから・・・さらに、お話は進み、ハッピー自身も記憶にはなかった、彼の過去も明らかになって行き・・

どんな人間であろうと、誰にだって「ジョーカー」になりうる、そんな人間の真髄を描いた映画。

「そんな人間には到底思えなかったんですけどね。。」凶悪事件などが起きた時に、昔から犯人を知る人から出てくるこの言葉。「そんな人間には思えない」からこそ、起こってしまうことなのかもしれない。
むしろ、ハッピーは「ジョーカー」とは、対極にあったはずの人間性。「承認欲求」、ハッピーは常に、誰かに認めてもらいたかった。一言でいいから、「面白いね」とか、「頑張ってるね」でも、そんな言葉が欲しかったのかもしれない。

そもそも、ハッピーが向き合うべきは、怒りで溢れかえった外の世界じゃなかったのかもしれない。「外側の何か」には自分の価値は見出せない。
そして、本来向き合ってくるべきだった細かな感情に全て蓋をして、妄想だけを膨らませてきたからこそ、こんな結末になってしまうのかもしれない。。「ジョーカー」って、僕自身も、あの偉い人だって、このブログを読んでくれてるあなたも、誰だって、なりうるんだと。
そして、そんな自分を解放してる”悪役”は、例えそれが”悪役”であろうと、自分に色々溜め込んでいる人々にとっては時に”ヒーロー”のように映り、そして、祭り上げられる。

これは架空のお話でも、どこか遠くの話ではなく、すぐそこで起こりうることだし、もしかしたらもう動き出してしまってることなのかもしれない・・・そう思うとゾッする映画でした。
善でも悪でも、隠でも陽でも、人間には言うまでもなくどっちもあって、バランスをちょっと崩すだけで、楽な方に傾くもの。そんな人間の”真髄”を描いているからこそ、この映画を、「美しい」と表現する人もいるくらい。『ジョーカー』、絶賛公開中ですが・・是非、覚悟してご鑑賞ください。

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