「『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、映画を通して感じるタランティーノ監督の深い愛」

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ブラピとディカプリの豪華キャスト、それだけでも必見の価値あり!

ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオのW主演って、もう90年代の映画を観て育った自分からしたらたまらないキャスティングなんですよ。それだけで観る価値のあるものでした。
ブラッド・ピット、こう言ってはあれだけど、アンジーとお別れしてから、また男前度が増したなって。だって、ね、一時期ちょっと太っちゃったりしてたじゃないですか。それが、むちゃくちゃシュッとして、さらに渋みを増して、かつ、あの誰をも魅了するベビースマイル。映画中、もうずっとかっこよかった。
かたや普段からベビーフェイスなディカプリオ。特に今回はかつてはスターだったけれど、今や落ち目の大物俳優という役柄だったんですが、びっくりするくらい脆く泣きじゃくるから感情移入どころか親のような心境で見守りたくなる可愛らしさでした。二人が大画面にドーンと映る姿は、まあ、絵になる、絵になる。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』鑑賞前に知っておくべき「シャロン・テート」の悲惨な事件。

「シャロン・テート事件」を知らなければ、事前に知っておくと、映画の見方がまったく変わって来ます。
シャロン・テートというかつて60年代に活躍した女優さんがいました。妊娠中で仕事を休んでいたシャロン、ある日、チャールズ・マンソンというヒッピーの男が率いるカルト集団により惨殺されるという悲惨な事件があったんです。。。
この事件をテーマにした映画やドキュメンタリーは数多くあるけれど、事実を事実として描いてしまうのではなく、「もう一つこういうエンディングがあっても良いんじゃない?」というアナザーストーリーを提示したのがクエンティン・タランティーノ監督。
あの事件さえなければ、彼女にも、そしてハリウッドという映画の世界にはまた違う未来が待っていたんじゃないかというタランティーノの愛を感じるアナザーストーリー。
ここからはエンディングの重要なところに触れてしまうことになるので、是非、劇場でご確認ください。

「マカロニ・ウェスタン」から「ブラックスプロイテーション」まで、「好き」に対して深い愛を示すクエンティン・タランティーノという監督。

この映画の中には、かつての西部劇や「マカロニ・ウェスタン」(ヨーロッパで撮影された西部劇)に対する深い愛も描かれているんですが、そうなんです、タランティーノ監督ってあれだけ暴力的な表現を好んで使うけれど、いつだって深い”愛”が映画に溢れているんです。
何に対する”愛”なのか。それは、人よりもきっと多感でオタク気質だったタランティーノ少年が思いっきり影響を受けた60年代、70年代の「映画」に対する深い愛。そして、もらった感動をいつまでも大切にして、「好き」なものはずっと「好き」と言い続け、今の自分を形成してくれたものに対する恩返しをずっとしている監督なんだなって思います。

タランティーノってこの映画の中にも出て来る「マカロニ・ウェスタン」や、70年代の「ブラックスプロイテーション」の時代の映画など、一般的には「B級もの」として扱われる映画にもものすごく深い”愛”を持っているんですよね。
70年代の「ブラックスプロイテーション」は、黒人による黒人のために作られた黒人映画のジャンルのこと言います。
予算も限られていたため、全般的にチープなクライムサスペンス映画などが主流で、その頃主役といえばこの人ってくらい出演していたのが”パム・グリア”という女優さんだったんですよね。タランティーノ少年は目を輝かせながらその女優さんの出演作品を楽しんだわけです。
そして、90年代、自分が監督となり、当時の「ブラックスプロイテーション」のような映画を撮影したいと『ジャッキー・ブラウン』を手がけることになりました。
当時はもうあまり第一線には登場しなかったパム・グリアに、「あなたの映画を観て育ったんです、僕の映画で主役を演じてくれませんか?」と直談判。ね、”愛”があるでしょ!?

いつまでも少年でパンクスなタランティーノ節炸裂のラスト15分は、声出して笑ってしまうくらい爽快!

人がなんと言おうと、自分が「好き」なものに素直に「好き」と言い続け、真っ向から表現していく。
この姿がかっこいいし、そこに心から共感するわけです。
いつまでも少年みたい、というか、少年だからこそ、観てるこちら側も”少年”としてタランティーノ映画を楽しめるわけです。人に無理やり合わせる必要はないよ、自分の「好き」を大切にしろよって肯定してもらってるようなね。
しかもここ最近のコンプライアンスの問題などで、「これは、いかがなものか!」とあらゆる表現方法に待ったがかかる風潮の中、それを全部受け止めて、「うるせー!」って突っぱねるような『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のラスト15分はとっても爽快だったし、声出して笑っちゃいました(笑)そんなパンクスなところも大好きです、タランティーノ監督!

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